最近、細胞培養基材の堅さを変えることで細胞機能変化が達成できることが報告された。この方法は新しい細胞機能制御技術として注目されている。そこで、これまでから研究室での使用頻度が高いフィブリンゲルについて、その物性制御を行った。添加物としてカルシウムイオン、ポリLリジン、また、単純なフィブリンゲル濃度を変えることも行った。その結果、カルシウムイオン、およびポリLリジンの添加により、その動的粘弾性は約2倍、フィブリン濃度を2倍、3倍にすることで、そのゲル強度は約3倍、5倍になることが示された。また、同様にアルギン酸ナトリウムの濃度を変えたアルジネートゲルを作製、このゲルの物性評価を行ったうえで、マウス胎児から取り出した顎下腺の器官培養を行った。その結果、堅さが軟らかいゲルほど、その分岐形態形成を促進し、一方で、堅さが堅いと分岐形態形成が抑制されることが明らかと成った。このようにゲルの物性制御は細胞や組織の機能制御において有効であることが示された。
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