研究概要 |
1,マウス口腔歯肉の組織学的観察 成体マウス(7週齢)の口腔内から歯肉を摘出,パラフィン切片を作製し,組織学的観察を行い,既存の報告通りに付着歯肉は可動粘膜と比較して,上皮の角化層肥厚化が観察されることを確認した。この組織学的な観察の結果と,歯肉組織の肉眼所見とを総合し,付着歯肉と可動粘膜を分離してサンプリングする基礎的なデータとした。 2,マウスからの付着歯肉細胞および可動粘膜細胞の分離と培養 本年度は付着歯肉の角化層肥厚化に注目し、それらの作用を観察するため,(1)の結果をふまえ,付着歯肉と可動粘膜,各々の組織より上皮細胞と間葉細胞の分離を行った。 本学動物実験委員会の承認の元,マウスの付着歯肉および可動粘膜を別々に採取し,それぞれをトリプシン処理により表皮と真皮に分離した。それぞれ表皮と真皮からさらなる酵素処理により,細胞を分離した。その結果,表皮から分離した細胞群は上皮細胞特有の敷石状の形態を示し,真皮から分離した細胞群は繊維芽細胞様の間葉系細胞に特徴的な形態を示す細胞であった。また付着歯肉・可動粘膜より採取した細胞間の形態に差異は認められなかった。これらの細胞群は継代,培養が可能であることを確認した。しかし,得られる組織量,ならびに細胞数が少ないため,当初の予定であるcDNAマイクロアレイや,細胞培養に際しての困難が予測されたため,用いる実験動物をラットに変更することとした。 3,ラットからの付着歯肉、可動粘膜のサンプリング 一匹のラットから得られる付着歯肉と可動粘膜組織を計量し,予定している,cDNAマイクロアレイを行うに十分な量を得られることを確認した.同様に,これらの組織からもマウスと同様にして,細胞を分離・培養できることを確認した。
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