研究課題
口腔の悪性腫瘍の大部分は扁平上皮がんが占めており、口腔がんの発症・進展は患者の咀嚼や発音などの機能障害だけでなく、審美障害を引き起こすため、その治療成績の改善は患者のQuolity of Life(QOL)の向上に密接な関係を有している。口腔は、可視化できる臓器であるため、これまで口腔扁平上皮がんの前がん病変として、所謂、白板症があることが知られている。我々は、これまで口腔扁平上皮がんの発生・進展に関わっている遺伝子/遺伝子産物の研究を行ってきた。アデノウイルスのがん遺伝子産物を研究する過程で、E4orf6がAU-rich element(ARE)に結合することでmRNAを安定化させるHuRと結合し、核から細胞質へ移行することで細胞がん化を導くことを明らかにした。口腔癌細胞株HSC3,Ca9.22を用いてHuRの発現をWestern blotおよび免疫染色で検索した。その結果、両細胞でHuRの発現は亢進し細胞質へ移行していることが明らかになった。HSC3の細胞増殖能はHuRの細胞質での発現がみられない歯肉線維芽細胞に比べ明らかに亢進していた。この際、AREmRNAであるc-fos mRNAは核から細胞質に移行しており、タンパク発現が認められた。現在、HuRに結合するタンパクの解析を行い、その相互作用について検討を行っている。さらに口腔白板症におけるHuRの局在変化を免疫染色を行い検討している。
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