研究概要 |
われわれのグループでは歯や歯周組織についてそれを構成する細胞の動態などを明らかにし再生医学的なとりくみの臨床試験をしている.しかしながら歯根にある病因が除去できなければその対象にならない.抜去後でもその歯に含まれる組織は適当な細胞培養環境中であれば生活状態が維持できる.このうち病的な状態にあるものでも病因の完全除去ができればその健全化が見込める.そこで歯と歯周組織をいったん分離し一定期間で両者を健全化させた後に再結合する療法を開発する.本研究の目的は病因を除去した歯根面に歯根膜あるいはセメント質形成性細胞が誘導あるいは付着できるか,根尖孔を閉鎖する方向に歯髄組織を誘導できるか,その過程はどのようかを明らかにすることである. 1. 歯根膜培養方法の検討およびその結果の解析,評価 無菌化し3分の2の歯根膜を除去した歯を培養環境下においた.歯根表面および根尖孔付近について,蛍光標識した細胞の挙動を蛍光顕微鏡下で画像再構成して観察した.経時的に実体顕微鏡下で得られる像を記録し画像解析し,歯根膜の増殖過程を記録した.その解析結果を定性的,定量的に評価している. 2. 移植実験およびその結果の解析,評価 歯根膜を培養した歯を免疫不全ラットに移植してその周囲に形成される組織を観察した.経時的にX線学的,組織学的所見を得て,その解析結果を定性的,定量的に評価している. 以上のまとめを学会で報告する予定である.
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