顎、顔面領域において知覚を司る三叉神経の末枝である下顎神経を、新しく開発した合成高分子+コラーゲン複合材料(人工神経管)と再生組織工学的手法を用い、再生させ得るかを大型動物を用いな動物実験で解明し、口腔外科領域の特殊な条件下で使える新しい神経管を開発した。この部の感覚機能が再生すれば、これまで下顎神終の障害が原因で起きていた神経因性疼痛に対する新たな治療法に結びつき、歯科口腔科領域で大きな臨床的な波及効果があると思われる。 1.ビーグル犬の下顎骨頬側部を下顎管走向部上部で一部切除及び若木骨折により骨扉を作成し、下顎神経を露出させた。 2.電気生理学的手法を用い、下顎神経走向部の正常な状態を評価した。(歯及び歯肉)を含め評価した。) 3.このビーグル犬の下顎神経を約10mm切除し、人工神経管で切除部を連結し、対側を対照側とした。 4.またこの実験と同時に、顔面神経、および舌下神経の再生実験も開始した。顔面神経は知覚及び運動をつかさどる混合性の神経で頭蓋底を出て内耳孔より骨中に入り下顎後窩より前方に出て表情筋を支配する。また舌下神経は運動を司る神経で、その走行部位は丙頸動静脈に沿って舌根部よ互舌筋に分布する。これはやはり部位的に非常に難易度の高い部位となるため、既存の人工神経管をさらに強度を増しかつ細い材質が必要となる。このための人工神経管も作製し実験に用いた。 これらのイヌを3ヶ月後、6ヶ月後、10ヶ月後、12ヶ月後の4群に分け、電気生理学的に評価した後、病理組織学的検討をして再生の状況を確認した。
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