研究概要 |
本研究成果の具体的な内容については、正・側面頭部工ックス線規格写真(セファロ)から立体構築した顎顔面形態の3D画像(3D-Cephalo)を、6自由度顎運動測定装置で計測した下顎運動に基づいて駆動させる4次元表示システムを構築したことである。さらに、インターネットを通して送信されてきたセファロトレース画像上の解剖学的特徴点を自動認識して3D-Cephaloを立ち上げるプログラムを開発した。そして患者の頭部立体画像を用いた三次元形態分析結果および患者の下顎運動をパソコン画面上で可視化できるように再構成して、ユーザーである臨床医に同じくインターネットを介して返送する遠隔診断システムを構築した。近年,医療分野において著しく発達しているITを利用することにより,一般開業医より送られてきた患者の形態画像と顎運動計測データをもとに種々の分析を行い、得られた結果を三次元画像と一緒にネットワークを介して臨床医に送信ができる。これは歯科一般臨床医や矯正・小児歯科専門医に遠隔診断支援として役立つだけでなく、患者にとってもよりリアリティーのある分かり易いコミュニケーションツールとなると思われた。また、歯科矯正領域における二次元の形態分析では標準偏差図表が頻繁に用いられていて臨床医にはなじみが深い。そこで同じく、本システムを発展させて三次元標準偏差図表を新たに作製し、患者の値を当てはめることで異常部位の特定とその程度を定量的に評価する方法を開発した。このように本システムは日常臨床への利用が可能になることが示唆され、社会的にも意義ある研究だと考えている。
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