研究課題
本研究では、歯根膜組織の恒常性維持や歯周疾患の発症・進展における弾性線維の働きを明らかにすることを目的とする。そこで、1.弾性線維の構成タンパクであるフィブリリン1の遺伝子変異を伴うマルファン症候群患者より単離した歯根膜細胞の解析、2.マルファン症候群のモデルマウス(MgΔ)に歯周病原菌(P.g)を感染させた歯周疾患モデルの解析、の2点を中心に研究を行ってきた。1. 弾性線維の構成タンパクであるフィブリリン1の遺伝子変異を伴うマルファン症候群患者より単離した歯根膜細胞の解析疾患患者由来にみられたN2144Sという変異を持つ歯根膜細胞をSCIDマウス背側皮下に移植した結果、microfibril assemblyや細胞の局在に異常がみられることを研究計画初年度の成果として報告した。興味深いことにこれらの異常は、ホスト側の血管近傍では見られなかった。すなわち、血管由来の何らかの因子が変異フィブリリン1の機能を補償する可能性が考えられ、現在この因子の解析や同定を行っている。2. マルファン症候群のモデルマウス(MgΔ)に歯周病原菌(P.gingivalis)を感染した歯周疾患モデルの解析MgΔマウスに歯周病原菌を感染させ8週間後に観察すると、野生型マウスと比較して明らかな歯槽骨吸収が観察された。この重篤化にTGF-βシグナルが関与しているのではないかと考え、シグナル阻害剤剤であるテルミサルタンによる抑制効果を解析中である。
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J Dent Res (印刷中)
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