2000年より政府は「健康日本21」を策定し、全国的な生活習慣病予防に取り組んでいる。う蝕、歯周病や生活習慣病は、セルフケアと密接な関係があるといわれている。しかし、そのモチベーションを上げることは難しい。そこで、本研究は、海上自衛隊員を対象とし、ヘルスプロモーションプログラムの開発を目的として行っている。 昨年度実施した口腔診査、健康教育前後の口腔健康意識等のアンケート調査および歯科健康教育にすべて参加した者は101名(男88名、女13名)であった。なお、歯科健康教育には、「口臭」の原因および予防法を教材とした定期的な歯科健診受診を促進する内容の教材(以下「口臭」歯科健康教材という)と「う蝕・歯周疾患」の原因および予防法を教材とした定期的な歯科健診受診を促進する内容の教材(以下「う蝕・歯周疾患」歯科健康教材という)を用意した。また、被験者を無作為に2つの群に分け、「口臭」または「う蝕・歯周疾患」歯科健康教材を用い、教育を実施した。 本年度は、この101名のうち男88名(22-59歳、40.03±10.56歳)の健康教育の効果について分析を行った。「口臭」歯科健康教材使用群、「う蝕・歯周疾患」歯科健康教材使用群の間に歯口清掃状況やう蝕・歯肉炎の有病率、口臭の有無などの現状や年齢での有意差はみられなかった。しかし、歯科健康教育前後のアンケート結果では、「口臭」歯科健康教材使用群は、「う蝕・歯周疾患」歯科健康教材使用群より有意に定期歯科健診の重要性を認識したことが示された。また、それは口臭の有無には関連はなかった。 以上の結果から、本研究で実施した成人の口臭を教材とした健康教育プログラムが、保健行動とくに定期受診率の改善に有効であったことが示唆された。
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