研究課題/領域番号 |
19659562
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
三木 明子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (30315569)
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研究分担者 |
友田 尋子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (30237135)
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キーワード | 暴力 / リスクマネジメント / 病院職員 / 暴言 / 患者 / 院内暴力 / 医療機関 / 暴力防止 |
研究概要 |
1.病院職員の職種別の患者暴力の被害状況の把握 患者暴力の被害は看護職に限定した報告が多く、他の職員の現状は明確でない。本年度は大学病院の職員1472名を対象に患者暴力の被害状況を調査した。743名から調査票を回収(50.5%)。暴力被害経験率の高かった項目は、大声で怒鳴られた32.0%、手や物で叩かれた17.2%であった。経験率は低いが拳骨で殴られた、首を絞められた、刃物を突きつけられた等の深刻な被害も認めた。職種別の経験率は看護職67.8%、事務職52.5%、検査技師42.2%、薬剤師40.6%、医師36.1%の順であった。全職種の第1位は大声で怒鳴られたであったが、女性の割合の多い看護師と検査技師では性的な話を聞かされる体験が第5位に挙がった。暴力防止教育の必要性を感じる職員は約8割であったが、対応マニュアルの存在を知らない職員が64.1%と多く、周知徹底が必要であることを示した。 2.暴言・暴力アクションチェックリスト(ACL)の開発(吉川氏・和田氏と共同開発) A病院の職員57名、多施設合同研修に参加した看護職70名にACLを用いたグループワークを実施した。優先対策に『手順書の作成、周知』『被害者のケアの体制』『ポリシーの作成、表明』が挙がり、すでに実施している対策は『監視カメラの設置』『責任者への報告』『待ち時間を情報提供』『被害者への影響の把握と事情の確認』『緊急コード発令』であった。ACLを用いることで話し合いが進めやすくなり、優先対策を絞り込むことができた。多職種間、多施設問で対策を話し合う際に役立つツールであると確認した。 3.成功事例の収集の分析 病院現場での成功事例を収集し、有用な暴力対策を検討した。暴力発生を未然に防ぐ対策は「監視カメラやボイスレコーダーで証拠を残す」「対応する専門部署がある」「面会者の把握」「夜勤看護師を警備員が寮まで送る」であった。
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