研究概要 |
リーダーシップやデリゲーション能力(以下,リーダー能力)について受けた教育が看護師の「仕事のやりがい」にどのように関連しているかを臨床看護師に調査した。調査対象は医療センターに勤める看護師のうち,看護系大卒(四大卒群)とそれ以外の役職看護師(役職者群)である。質問紙は看護師288名に送付し,有効回答の264名について解析を行った。リーダー能力についての教育を受けた経験がある者を「受講歴あり」,ない者を「受講歴なし」とし,仕事のやりがいがリーダー能力に関係すると思うか,の質問についての回答を解析した結果,受講歴あるなしで有意差はなかったが,回答からリーダー能力への評価が高い群と低い群,自分のリーダー能力に自信力がない群とある群に分けて,解析をしたところ有意な差が見られ,特に「評価が高く自信がある」ことは「仕事のやりがい」についての考えに支配的であった。役職者群では受講歴のある群で「評価が高く自信がある」者が有意に多かった。 また,「仕事のやりがい」とリーダー能力は関係しているとする者は、臨床におけるデリゲーションをうまく使えば病棟運営も良くなるとする者に多く,役職者群では師長以上や臨床経験20年以上でこの傾向が強かった。他にリーダーシップをうまく使うことが臨床におけるデリゲーショとの評価を高くする要因となるという結果もあった。米国でのインダビューからは臨床でのリーダーシップにデリゲーションが不可欠であるということ,リーダーシップ育成のカリキュラムが必修科目であることが分かった。今回の調査から臨床経験や自信が「仕事のやりがい」とリーダー能力との関係への考え方に正の影響を及ぼしていることが分かった。このことから。経験のない学生へのリーダー能力についての教育はこれらの能力を自信を持って活用できるような実践的なものである必要性が高いと考えられる。
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