小児期に糖尿病を発症し治療中である思春期後期および青年期の者7人および、小児がんの治療の経験がある思春期後期および青年期の者27人を対象に、骨密度の測定、生活習慣・食習慣の調査、治療歴の調査を行い、骨密度と生活習慣・食習慣との関連を検討した結果、以下の結果が得られた。1.糖尿病患者において、骨梁面積率が<十分多い・普通>群と<やや少なめ>群で、発症年齢、最近のHbAlc値、BMIに違いはみられなかった。日常生活および自分自身への健康や日常生活への関心についても、骨梁面積率が<十分多い・普通>群と<やや少なめ>群との間で違いはみられなかった。2.小児がん経験者において、骨梁面積率が<十分多い・普通>群と<やや少なめ・少なめ>群で、初めての入院年齢、BMIに違いはみられなかった。日常生活および自分自身への健康や日常生活への関心についても、骨梁面積率が<十分多い・普通>群と<やや少なめ・少なめ>群との間で違いはみられなかった。3.小児がん経験者において、骨梁面積率と年齢、BMI、体脂肪率、初めて入院した年齢それぞれの相関をみたところ、骨梁面積率とBMIの相関係数が0.45(p=0.02)と有意な相関がみられた。4.糖尿病患者と小児がん経験者における骨梁面積率および生活習慣の比較では、体脂肪率、骨梁面積率は糖尿病患者と小児がん経験者で有意な差はみられなかった。BMIは糖尿病患者のほうが有意に高かった。日常生活に関することでは、「ダイエット経験」、「日常生活の中での活動量」、「定期的にスポーツをしている」の項目で糖尿病患者と小児がん経験者で有意な差はみられなかった。自分自身の健康や目常生活への関心についても同様に、糖尿病患者と小児がん経験者で有意な差はみられなかったが、糖尿病患者と小児がん経験者ともに関心が高いことが示唆された。以上の結果から看護援助に向けて以下のような示唆が得られた。1.小児がん経験者では、骨梁面積率は現在の体格との関連がみられたため、適正な標準的な体格の維持を目指した栄養摂取と生活習慣の確立への援助の必要性。2.糖尿病患者、小児がん経験者ともに、スポーツなど身体を動かすことへの関心は高いが、日常生活での活動量は少なく、定期的にスポーツをする習慣もあまりなく、関心はあるが実際が伴わないため、関心を活動につなげていく援助の必要性が示唆された。以上の結果は平成21年度に国立看護大学校紀要に投稿予定である。
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