研究概要 |
本研究は、小児期からの肥満予防のため家族が生活習慣を客観視し、生活のコントロールが行えるための生活習慣セルフモニタリング測定尺度の開発を目的としている。まず初年度(H19)は,尺度開発にあたり文献検討を行い,それを踏まえて半構成的面接調査法を実施した。その成果は、以下のとおりである。 1.日本国内の文献分析により、幼児肥満に関連する生活習慣のリスク因子に関わる4項目を抽出した。それは,「幼児期の一日あたり10時間未満の睡眠時間」「運動嫌いと養育者の運動量に起因した一日の少ない活動量」「平日のテレビの視聴時間や携帯ゲーム時間使用時間の長さ」「食事時1口あたり2回以内の咀噛、多い食事量とともに親のコントロールを受けない間食のとり方」の項目内容で,幼児肥満の生活習慣セルフモニタリング測定尺度の構成要素が示唆された。2.肥満傾向の幼児がいる養育者7名に半構成的面接を実施した(幼児のカウプ指数は19.6〜26.8で平均20.8(SD±2.8)であった)。その結果、【健康と発達に配慮した遊びの支援】【健康生活習慣確立への努力】【子どもに適した運動習慣への支援】【家族メンバーに影響される子どもの食生活】【親役割の遂行困難に伴う子どもへの過保護】【幼児肥満に繋がる食習慣と養育者の危機意識】の6カテゴリ-が抽出された。この結果から,養育者が幼児の生活を意識して改善する努力とそれを自負する姿、子どもの食生活が確立できない原因に対する調整役の役割と、その役割遂行の困難要因への認識および養育者としてのジレンマが表現されていた。先行研究に比較して幼児の肥満に対する危機感を抱いている姿もみられていた。次年度(H20)は,明らかとなった幼児の生活習慣と養育者の認識についての分析を深め,行動変容に関わる構成要素の体系化を図り,測定尺度の開発に向けて質問項目の抽出および因子分析を行い,併せて測定尺度の信頼性・妥当性などを検討する。
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