今年度は家族が生活習慣をセルフモニタリングできる尺度の開発にあたり保護者の認識に関連する構成概念を入れる必要があるため、学童の保護者を対象にしたアンケート調査を実施した。実績は以下のとおりである。 1.研究方法:A県内B小学校に通う学童の保護者 398名を対象とし無記名によるアンケート調査を実施した。調査内容は(1)回答者の基本的属性(2)学童の基本的属性 (3)学童の生活習慣(起床・就寝時刻、朝食等の摂取等)、(4)Kolotkinらによって開発されたThe Impact of Weight on Quality of Lifeのうち、自尊感情項目と活動性項目を研究者らが日本語訳したものを用いた。ボディ・イメージは研究者らが独自に作成した4項目を加えた質問紙とした。信頼性はCronbachのα係数 0.81であり内的整合性を確認した。分析は学童の身長値と体重値を基にして肥満度を算出し、肥満度傾向群、標準群、痩身傾向群の3群に分けて各質問について保護者の認識比較を行った。2.結果と考察:回収数は273名(回収率68.6%)、肥満度傾向群24名(8.8%)、標準群206名(75.5%)、痩身傾向群43名(15.8%)として3群間で比較検討した。痩身傾向群の保護者は、子どもは遅寝起きの習慣がある、子どもは痩せていると感じている傾向を認めた。肥満傾向群の保護者は、子どもは早寝早起きである、子どもは太っていると感じている傾向を認めた。さらに「体重が気になる」の設問は親子間に体重の感じ方の違いが示唆された。保護者が認識する子どもの自尊感情は、肥満傾向群の子どもが有意に低値であった。以上の結果から、さらに3群それぞれに因子分析し、保護者の認識に関わる構成概念を共通性、相違性から検討し尺度項目の精度を上げる。最終年度はさらに初年度に得られた幼児肥満の母親らのィンタビューから得られた結果を含めた尺度で保健師、幼児の保護者に対して尺度の検証を行う。
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