研究概要 |
本研究の目的は、不妊治療後妊娠者とそのパートナーの周産期(妊娠期・分娩期・産褥期)の身体的・心理的・社会的問題を明らかにし、安心して周産期をすごせるためのケアガイドラインを構築することであり、本年度が最終年である。 1. 平成19年~20年に亘って行った調査のまとめ 平成19年~20年に不妊治療を実施している施設で働いている看護職者に対する調査結果をまとめて、女性心身医学に投稿した。平成20年度の後半に実施した不妊治療センターを併設する京都府内の産婦人科1施設における未経産の妊婦147名に対する調査は、3つの学会で報告した。 2. ニュージーランドにおける不妊治療後妊娠者のケアガイドラインを調査 ニュージーランドの病院および助産院において、助産師教育および助産師業務の中の不妊治療者および不妊治療後妊娠者のケアを視察した。ニュージーランドの助産師教育の中では、ハイリスク妊婦の分類の中で不妊治療者および不妊治療後妊婦へのケアが教育されている。しかし、実際のケアにおいては、特に不妊治療者および不妊治療後妊婦に対する特別なガイドラインは創設されておらず、わが国と同様である。わが国でも、本調査で看護職者は不妊治療後妊娠群に対して特別のニーズや特別なケアの必要性を高く認識していること、および,不妊治療後妊娠群は自らを特別だ,特別に取り扱って欲しいと捉えているにもかかわらず,自然妊娠群と岡様に扱っているという実態が認められ,認識と実践の不一致も明らかとなった。また、ケアで重要な時期として,「妊娠初期£と「産褥期」を挙げ,不妊治療後妊娠群に対して精神的なケアやカウンセリングの必要性を示唆された。今後は看護職に対して不妊治療後妊娠者に対する教育の機会を増やすだけでなく,不妊治療後であることを踏まえた周塵期の時期別ケアに関する教育など教育内容の充実を図ることの重要性が示唆された。
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