本年度はて不妊症看護認定肴護師3名、不妊治療の看護に携わっている看護者1名、不妊看護に興味関心を持っている看護者3名の合計7名により、3回に渡るフォーカスグループインタビューを行った。インタビュー内容は、不妊治療を受けている対象への看護ケアを提供している中で感じたり疑問に思っている対象に関する身体的側面、心理的側面、社会的側面の問題やカップル間の問題、あるいはそれらを複合した問題についてであり、1回について3-4時間の自由討議であった。インタビュー中は、MDレコーダーにてその内容を録音し、また問題点に関してパーソナルコンピューターを用いてメモを残した。録音内容を逐語文にし、9討議内容のメモも用いて、看護者が捉えている不妊治療中の問題点について質的に抽出を行った。 結果としては、継続して行われる注射の方法(部位・角度、注入時間、注射後の圧迫など)に関する問題治療に必須の薬の投与による副作用の無自覚あるいは放置、不妊であることや治療後に生じる喪失感不妊であることを認めたくない、繰り返し体験する痛みや恐怖からくる継続的緊張感、周囲との関係を控えようとする社会的な孤立化、治療継続によりセックスレスな夫との関係などが見えてきた。また、看護者はそうした対象者の問題から、自分との価値観のずれ、対象者自らが計画的に行動すること、説明を十分に理解しようとしない姿勢、治療失敗時の対応方法の難しさなどの看護のやりにくさも感じていた。また、治療を行う上での医師との関係の取り方の難しさや薬剤師、あるいはエンブリオロジストとの関係など、チームで取り組む不妊治療独自の問題も上がっている。今後はこれらをもとに、インタビューガイドを作成し、不妊治療を受けている対象者に直接、治療を受けるうえでの包括的な問題を聞きだし、さらにはその実態を明らかにする予定である。
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