研究課題/領域番号 |
19659587
|
研究種目 |
萌芽研究
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
猪股 千代子 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (90381326)
|
研究分担者 |
佐治 順子 宮城大学, 看護学部, 教授 (50295375)
高橋 方子 宮城大学, 看護学部, 講師 (80305341)
川村 武 宮城大学, 看護学部, 教授 (80111277)
仁田 新一 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90101138)
仲田 みきわ 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (50241386)
|
キーワード | 音楽療法 / パーキンソン病 / 定性的・定量的研究 / 身体機能向上 / 安定・安心機能向上 / 社会的機能向上 / 自己肯定機能向上 / 折り合いの自己実現 |
研究概要 |
1:音楽療法を受けているパーキンソン病患者の日常生活に及ぼす音楽療法の影響や効果をインタビュー方式により分析した。その結果、患者が語る音楽療法の効果はマズローの欲求階層説で構成され、以下の6つのカテゴリーが得られた。すなわち、【身体機能の向上】、【安定・安心機能の向上】、【社会的機能の向上】、【自己肯定機能の向上】、【生きがい・折り合いの自己実現】、【審美的欲求】であった。音楽療法を選択するまでの過程は、信頼できる医師からの勧めで音楽療法士と出会い、症状の緩和への期待という動機づけがあり、音楽が好きであることと、これまでの生活過程の中で音楽との楽しい思い出が連動していた。音楽療法の効果は、まず【身体機能の向上】≪言語機能・コミュニケーション機能の回復と発達≫≪運動機能・感覚運動スキルの改善・促進≫に出現した。疾患を抱える患者であっても音楽療法によって、人間の基本的欲求充足は高次のレベルのものまでも獲得されていることが確認された。 2:「パーキンソン病のクライエントに対する音楽療法の効果測定に関するインタビュー研究-ケアリングの視点からの心の健康の定性的評価」(猪股.2006)を基に、パーキンソン病患者の音楽療法の効果測定アンケートを作成し、音楽療法に参加しているパーキンソン病患者と、参加したことのないパーキンソン病患者の日常生活における健康状態を比較することによって、音楽療法の効果を検証した。その結果、音楽療法併用のパーキンソン病患者の健康状態は、友人との交流などにより社会的機能の向上が認められた。特に音楽への嗜好や、音楽療法に対する興味・関心度の高い患者は、音楽療法への積極的参加により、身体機能の向上、安定・安心機能の向上、社会的機能の向上、自己肯定機能の向上、生きがい・折り合いの自己実現、審美的欲求充足が期待される。医師・看護師はパーキンソン病患者の健康状態を音楽療法士へ情報提供を行い、音楽療法士は患者のニーズを反映した音楽療法プランの作成と実行に関与し、そして、多職種と患者参加による音楽療法の効果や意義を評価するプロセスを繰り返す、健康マネジメントにより、パーキンソン病患者の身体機能の向上、安定・安心機能の向上、社会的機能の向上、自己肯定機能の向上、生きがい・折り合いの自己実現、審美的欲求が充足される生きる意欲を引き出す援助となることが考えられた。
|