今回の研究ではこれまでの看護師、音楽療法士に加え、新たに、保健医療職として医師・保健師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・福祉職を加えたチームアプローチで、世界でも稀な、まったく新しいコンセプトによる代替療法・音楽療法を活用した、安寧と心身の健康増進プログラムの設計・開発を行った。 前期・後期の計10回、おおよそ2週間に1回の音楽療法を開催し、パーキンソン友の会会員を対象にセッションをもった。音楽療法のセッションは、札幌市内の音楽療法士3名の協力を得て行った。看護職スタッフは、音楽療法セッション前後の健康チェック、前回参加後から健康状態はどうであったかの確認および健康相談を行った。この健康チェックの際に、6段階の簡易的な気分スケールを用い評価したところ、音楽療法セッションの一時的な効果を確認した。また生活の質向上への長期的な効果を測るために、前期開催時5月と終了時8月、および後期開催時9月と終了時12月に、血圧・脈拍、PDQ39、HADS、ニーズ調査票、オリジナル健康調査票(独自に作成)を用いて調査を行った。 音楽療法が終了する12月から次年度開催の5月開催まで、長期間にわたりケアが中断されるため、アロマセラピーを2回開催し、健康チェック・健康相談も行い参加者への支援を続けた。前期終了時(8月)および後期終了時(12月)、参加者とともに会合を持ち、意見交換を行った。またスタッフ間での会議を持ち、参加者の健康の維持や生活の質の向上に寄与できているかを調査結果から評価し、ニーズ達成状況を確認した。セッション内容の振り返りと医療者の専門的アドバイスを受け、音楽療法士はその後の音楽療法セッションのプログラム改善に努めた。看護師は参加者の状況把握の方法および環境づくりに調査結果を反映させ、健康チェック・健康相談の内容の改善、調査法の工夫、癒しの場の創り方を検討した。
|