本研究は、妊娠37週以降の前期破水後の陣痛発来時間の予測に関連する要因の探索と、それらの要因が陣痛発来時間を予測するための指標となりうるのか検討することである。平成19年度に実施した第1研究において、臨床経験知から陣痛発来の関連要因を探索した。今年度は第2研究として、平成19年度に得られた臨床経験知を観察研究の実施に向けて精選するとともに、陣痛発来の関連要因として最有力視している腔内分泌物中のサイトカインの測定方法を検討した。 その結果、妊娠37週以降の前期破水症例を対象とした観察研究におけるデータシートを完成させた。データシートの特徴は、臨床経験知をフィジカルイグザミネーションによって得られる臨床所見と検査所見で得られるデータとして抽出したことである。(ペルビックスコア、超音波断層法による羊水量測定、母子の感染兆候、羊水性状、胎児心拍陣痛図による陣痛観察、妊娠中の腟分泌物培養など)また、腟内分泌物の試料採取方法においては、予備測定から、採取後にサイトカイン失活を防ぐためにプロテアーゼインヒビターを用いた速やかな一次処理が必要であることが判明したため、予備測定をもとに腟内分泌物の採取方法、処理方法および保存方法を決定した。 第3研究は、37週以降の前期破水の産婦、30〜40症例を対象とし、観察研究によって得られたデータおよび試料を分析し前期破水後の陣痛発来時間の予測に関連する要因を特定することである。
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