1.実施した研究の具体的内容 交付申請通りに今年度は院内助産所を稼動させている病院を対象に、アンケート調査および関係者へのインタビュー調査(病院を訪問して)を実施し、現在も取り組み中である。調査済みあるいは予定(決定)の施設は、薫風会佐野病院(兵庫県)、奈良社会保険病院(奈良県)、愛和病院(福岡県)で、今後国立病院機構舞鶴医療センター(京都府)やべルランド総合病院(大阪府)も検討している。インタビュー対象者は、実際の主たる助産師、産科病棟師長、産科医、看護部長、事務部である。 2.今年度の取組の意義・重要性 今年度の実施内容の核となる、わが国における院内助産所のフロンティア的存在の佐野病院は立ち上げに関わった主要なスタッフが昨年度末に退職し、院内助産所の運営に危惧を有している状況であることが調査開始前に判明した。このことは、システム構築のためには事業の継続性に必要な条件や、産科医との協働以外に病棟スタッフとの連携のあり方がどうなのかをみていく必要性を生じさせる結果となった。また、調査を実施してわかったこととして、院内助産所や助産師外来といっても多様な形態があり、例えば妊掃健診は従来通りの医師管理下に置き保健指導のみの状況で「助産師外来」と標榜していたり、院内助産所で扱う分娩としては安全性に疑義を感じさせるものについて取組みを検討していたり等、早急に一定のガイドラインの設定の必要性を感じさせる状況であった。本研究によって助産師外来や院内助産所の現状が明らかになることは意義が大きいと考える。また、多くの施設が中心となる助産師のボランティア的働きで回っている状況であり、病院の事業構想としてなかなか位置づけない現状であることもわかり、本研究の目的とするシステム構築について研究する意義があらためて確認された。次年度は計画通り、産科医および勤務助産師を対象にした意識調査を予定している。
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