研究概要 |
【目的】本研究では、経口摂取が制限されている子どもにおいて,摂食に関する発達状況を適切に判断し,発達段階に応じた支援を行うために,摂食の発達評価基準を含めた看護介入プログラムを考案・開発することを最終目標とし、3年計画の1年目は、1)先行研究・文献検討や事例分析をもとに作成した子どもの摂食機能・行動評価表を検証し確立すること、2)対象となる患児へ1)で作成した摂食機能・行動評価表を用いて評価し,摂食の発達支援に基づいた看護介入プログラムを実施・評価することを目的に研究を行った。 【方法】1)研究デザイン:Case Study 2)対象:疾患や治療上,生下時より経口摂取(哺乳)の経験がない,または機会が少なく,哺乳または食物摂取行動が十分獲得されていない入院中の乳幼児期患児10名。3)方法:介入時、成長発達評価および文献検討を基に作成した摂食機能評価シートを用いて摂食機能評価を行った。摂食機能評価は、患児の摂食準備から終了まで20分程度ビデオ撮影し、研究者間で分析し、援助プランを作成し3〜8か月間介入した。研究の全過程において本学部研究倫理委員会の承認を得てそれにしたがい配慮した。 【結果および考察】対象患児は、短腸症候群2名、先天性食道閉鎖症2名、生体肝移植後4名、先天性心疾患2名で、介入時の年齢は6ケ月〜2歳9ケ月であった。分析の結果、介入時に患児の摂食機能・行動の成長を阻む要因を特定すること、同時に成長促進要因にも着目した介入プランが摂食機能の促進につながることが明らかになった。介入時に用いた摂食機能評価シートは、摂食機能診査の他に「発達評価」「摂食に関するサマリー」「全身状態のサマリー」「摂食場面で気づいたこと」「家族に関する情報」「指導内容」を含めたことで、多角的なアセスメントを可能にするという点で実用的であった。介入プログラムの標準化には、今後さらに事例数を増やしていく必要がある。
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