研究概要 |
本研究の目的は、経口摂取が制限されている子どもにおいて,摂食に関する発達状況を適切に判断し,発達段階に応じた支援を行うために,摂食の発達評価基準を含めた看護介入プログラムの考案・開発である。3年計画の2年目は、平成19年度に考案した摂食の発達支援看護介入プログラムを対象患児に実施・評価し、より患児とその親のニーズに沿った支援を提供するために,家庭訪問による退院後の摂食の発達状況の把握ならびに支援ニーズについて検討を行った。研究の全過程において本学部研究倫理委員会の承認を得てそれにしたがい配慮した。 今年度は、平成19年度より継続支援している患児に加え、疾患や治療上,哺乳または食物摂取行動が十分獲得されていない乳幼児期の患児5名(心疾患患児3名、胸部疾患患児1名、消化器系疾患1名)とその家族にCase Studyを行った。看護介入では、平成19年度の知見を元に改良した「摂食シート」を用い、期間は1〜10ヶ月であった。分析の結果、19年度の成果(患児の強みに着目する支援が効果的であったこと)に加え、さらに介入段階で摂食に関するnegative factorとその要因に特化した間接訓練・直接訓練のプランが効果的であることが明らかになった。現在、継続介入中の事例も含め5名全員の摂食機能・行動の発達的向上が認められ、プログラムの方向性が明らかになってきた。また、現時点では、家族への支援ニーズについてはデータ蓄積中である。対象事例を増やすために、小児看護専門看護師へ他施設でのデータ収集についてコンサルトしたが、介入方法の徹底やデータの緻密性ならびに研究期間(1事例が長期に渡ること)を考慮すると施設拡大は困難であるとの助言を得た。今後は家族への支援ニーズを含めたプログラムの構築のため、家庭訪問によるデータ収集をすすめつつ、看護師によるプログラム実施が通常化できるよう指導していくことが課題である。
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