研究概要 |
1.研究目的:妊娠初期の出生前検査の受検に関する決定を支える看護プログラムの開発と評価である。今年度は、開発したプログラムを介入群に実施し、事前・事後テストの平均値の比較ならびに事後テストの2次データ(Arimori,2006)との比較により介入の影響を評価した。2.分析方法:対象者の特性に関する群間の比較にはt検定、x^2検定またはFisherの正確検定のいずれかを用い、介入の影響の評価には、t検定を実施した。3.結果:介入群の評価可能例は46名であった。2次データ(43名)は、本研究の介入群と同施設でデータ収集されたデータであり、看護者は陪席のみで介入を実施していない。介入群データと2次データの属性には統計的な有意差を認めなかった。介入群では、「知識(出生前検査に関する知識テスト)」の平均値が事後テストにおいて有意に上昇し、「決定の葛藤(日本語版DCS)」が事後テストにおいて有意差に改善した。また、介入群データ(46名)と2次データに関して、出生前検査の受検に関する決定後(約2週間後)に測定されたDCSのトータルスコアを比較したところ、DCSのトータルスコアの平均値は、介入群21.88(SD=11.46)、2次データ群30.16(SD=10.76)と、統計的な有意差が認められ(t(87)=-3.51, p=0.001)、決定の葛藤に関して、介入の影響が確認された。また、介入群46名から得られた看護者の関わりに対する評価として、自由記載データの内容分析を行った結果、緊張感の緩和、不安の軽減、心構えができる等の肯定的な評価が95%以上を占めた。4.考察:本研究では、出生前検査に関する事前面接による看護者の単独の介入によるケアの影響が確認された。また、看護者が“カウンセリングに同席する"という関わりのみでは、看護のケアの影響が十分に発揮されない可能性が示された。また、本研究において開発されたプログラムは、対象者のニーズに概ね合致していたものと考えられる。
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