本研究の目的は、今後、多くの心の問題を持つ児童と、その家族を援助の対象とするであろう一般小児科看護師への、精神看護的観点から支援を行うための教育プログラムの開発である。教育プログラムの受け手である一般小児科看護師の学習の利便性や学習の継続を促すために、eラーニングを用いる。本研究により、一般小児科看護師の力量の向上、ひいては心の問題を持つ児童とその家族がよりよいケアを受けられることを目指している。 本研究は、一般小児科看護師のニーズならびに児童精神科看護師の実践知把握、全国調査、eラーニングプログラム開発・実施・評価という3段階により構成する予定としており、平成20年度は2段階目にあたる。 児童の心の問題のケアにあたる看護職者の実践知の収集のために、児童精神科ならびに小児科看護師に対し、日頃の看護実践、困難、解決法、有用であると考える教育資源について聞き取り調査を行った。その結果について、国内の児童青年期の精神医学的問題を取り扱う学会に於いて発表し、参加者より助言・意見等を募った。さらに、地域ケアを基盤とし、看護に於いても専門分化されるなど、先進のシステムに基づいた精神医療サービスを展開している英国の精神保健の学会に於いて、日本の看護の状況について発表するとともに、看護の背景となる卒前・後教育、医療システムなどの相違について情報を収集し、現地の研究者らと意見交換を行った。 これらの結果を踏まえて、全国の小児科ならびに児童精神科看護師に対し、その教育ニーズを把握するための質問紙を試作するとともに、並行して教育素材を試作中である。さらに教育プログラムの実施対象者を募集・実施するためのフィールドの開拓および交渉等を進めている。
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