研究分担者 |
川井 八重 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (30314991)
兼重 努 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (80378439)
鈴木 ひとみ 神戸常盤大学, 短期大学部, 非常勤講師 (60462008)
上間 美穂 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30402704)
菱田 知代 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (40402705)
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研究概要 |
本研究の目的は,妊娠中及び育児中のニューカマーの健康行動パターン,既存の母子保健事業における保健師等看護職の対応び反応を把握し、それに基づいた異文化看護の提供指針を確立することである。本年度は7月〜3月末まで,通訳を介してAクリニックに受診中のブラジル出身妊婦12名から継続的参加観察を行うことに同意を得ることできたが、実際に継続可能となったのは5名であった。クリニック受診時の参加観察とインフォーマル・インタビューは10回(1回に複数の妊娠),保健師に同行した妊娠家庭訪問1件,陣痛場面への立ち会い2件,保健師に同行した新生児家庭訪問3件,乳幼児健診への同行1件であった。現在のデータ分析から以下のことが把握された。 1.健康行動パターン 1)生活 (1)食生活 妊娠悪阻や離乳食など,食生活に工夫を用要する場合に,食材,購入方法,調理方法に困惑していた。(2)住生活 一軒家を成人5人で借用するなど,居住空間が狭い傾向があった。(3)職業生活 退職を恐れて,妊娠が職場に知られないように夜勤を行うなど,総じて「デカセギ」中心の生活パターンであった。そのため職場で倒れた妊婦もあった。2)家族 家族,親族で来日しており,その絆は強い。妊娠中の妻に対する夫のケアは多く,妊婦健診で「妊娠は二人のこと」「日本人は夫が同伴しない。不思議だ」と語る。 2.保健事業における看護職の対応 通訳がいないため,産科の妊娠学級への出席がなかった。そのため出産の兆候,入院時期,出産の経過が理解できておらず,大きな不安を持っていた。また乳児健診では保健指導が理解されていなかった。 次年度は,継続してデータ収集を行い,また,対象者を増やして内容をさらに分析を行っていく予定である。
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