研究課題/領域番号 |
19659609
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
高橋 由美子 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60438033)
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研究分担者 |
片倉 洋子 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (80363711)
藤井 智子 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (20374796)
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キーワード | 訪問看護ステーション / 積雪・寒冷地域 / 自治体財政 / ヒアリング調査 / ステーション経営 |
研究概要 |
目的:積雪・寒冷地域の北海道における訪問看護サービスの収支に影響する要因と訪問看護の利用による自治体の医療・介護保険財政の抑制への影響を実証的に明らかにする。 方法:(1)20年度実施の北海道内全267ステーションに対するアンケート調査結果の分析、(2)小規模自治体(訪問看護設置1カ所)を対象に国民健康保険と介護保険財政のデータ収集及び担当者に対するヒアリング調査の実施と分析 アンケートの結果:回収は57で回収率は21.3%と低かった。開設期間は3年以上が7割、常勤換算4.9人、開設地域は札幌市が4割、収支比率では7割が黒字だったが、そのうち7割は10%未満だった。赤字の場合、母体病院及び複数系列のプール制から補填されていた。利用保険の3割は医療、7割は介護保険で、訪問看護単独利用は2割、他は通所・訪問系サービスとの併用利用者が多かった。常勤数、利用者数、地域間格差、人件費比率、利用保険区分割合、訪問看護時間と交通所用時間、委託契約施設、連携医療機関数など、収支比率に関連のみられた項目はなかった。冬期間の訪問中止は4割が経験し、スタッフ確保の困難性は7割が抱えていた。今後の経営方策では利用者増、特に医療保険利用者増が有効と回答した。 ヒアリングの結果:後期高齢者医療保険導入、低所得者減免、滞納等により自治体保険財源総体の収支は減少していた。保険給付費割合のうち訪問看護療養費は0.1%に満たず、給付費の増減による財政への影響は無いと思われる。さらに訪問看護の利用は療養費か介護給付費の支払いが発生するため、単純に訪問看護利用は財政抑制にっながると結論づけられない仕組みである。訪問看護利用が入院・入所までの期間を延ばし、さらに入院と在宅療養の場合の保険給付費の試算を推計し比較することにより自治体財政への影響を明らかにできると推察されたが、元々、訪問看護利用者は傷病が重度という特徴から、財政抑制幅は少ないことが予測された。
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