研究概要 |
まだ、研究がスタートしてから半年しか経過していないので、実験を遂行するための道具・基盤作りに終始した。具体的には、PtflaアリルにMath1を、あるいはMath1アリルにPtflaをノックインしたマウスを作成中であり、少なくとも前者は完成し、後者は現在キメラマウスの段階である。また、Math1アリルにCreERという誘導型のCreリコンビナーゼcDNAをノックインするマウスも作成中で、これもキメラマウスの段階である。さらに、胎生12および14日の小脳原基からRNAを抽出し、cDNAマイクロアレイ解析を行い、発生段階で変化する小脳神経幹細胞の時間アイデンティティ分子のスクリーニングを開始した。これらの実験と、子宮内エレクトロポレーション法によるそれぞれの分子の活性の検証を行っているところである。また、空間アイデンティティ形成に関する仕事として、Ptflaが尾側後脳の神経幹細胞の一部のpopulationで発現し、登上線維神経細胞の発生に関わるということを報告した(J. Neurosci. 2007)。これは、他のグループのMath1の研究と考え合わせると、尾側後脳においてもPtfla, Math1,そしてもう一つのbHLH転写因子であるNgn1によって神経幹細胞の空間アイデンティティ形成が行われていることを示唆している。今後は、さらに実験を遂行するための基盤作りにつとめ、さらにそれを用いて研究目的を達成していきたい。
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