ウイルスベクターを用いた「遺伝子レスキューマウス」作出による解析は、ポストゲノム時代において汎用性の高い効果的な研究手法となる可能性がある。しかし、そのためにはウイルスベクターを細胞特異的に効率的に感染させ、その細胞で遺伝子発現を効率的に制御できる必要がある。レンチウイルスベクターは神経細胞に比較的親和性があり注目を集めていたが、その性質については多くのことが不明であった。そこで本研究では、以下の項目を目的とした。 (1)レンチウイルスベクターの改良と評価 (1)標的遺伝子とマーカー(GFPなど)遺伝子の2つの遺伝子の発現を可能にする (2)5kb以上の遺伝子を発現可能な高力価ベクターを開発する。 (3)レンチウイルスが細胞選択的に感染する機構を解明する。 (2)レスキューマウス作出による遺伝子機能解明と臨界期の検討 自然発生(Hotfoot5Jなど)、人工(遺伝子ノックアウト)の運動失調マウスにレンチウイルスベクターを用いて野生型遺伝子を発現させ運動失調のレスキューを試みる。また細胞レベルでは何がどの程度レスキューされているのかを形態学的、電気生理学的に調べる。この実験を通してそれぞれの遺伝子の機能、シグナル伝達様式、臨界期について明らかにする。
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