本研究では、電流誘起スピンダイナミクスの物理を明らかにするとともに、電流によるスピンの動的制御を利用したスピン能動素子への展開を図ることを目的としている。 この目的を達成するために、以下の項目の研究を行っている。 (1) 電流誘起スピンダイナミクスの物理の解明 (2) 電流誘起スピンダイナミクスを利用した能動素子の試作と動作実証 本年度の研究実績は以下の通りである。 (1) 電流誘起スピンダイナミクスの物理の研究 ・ 磁気コアメモリー 既に実証してある磁気コアメモリーの電気的書き込みに引き続き、情報の電気的読み出しが可能であることを示した。さらに磁気コア励起のための交流電流にパルス電流を重ねることで効率的情報書き込みが可能であることを検証した。 (2) 電流誘起スピンダイナミクスを利用した能動素子の試作および動作実証 ・ 磁壁発振器 Co/Ni垂直磁化膜を用いた幅30nmのノッチ加工技術を確立し、このノッチに磁壁をトラップできることを確認した。さらに磁壁抵抗が磁壁構造で変化すること利用して、プロッホ磁壁からネール磁壁へのスピン構造変化をとらえることに成功した。
|