本研究計画では、線虫C. elegansの胚発生過程における細胞骨格(特に、微小管とアクチン)の動態に着目し、RNAiによる遺伝子機能阻害と4次元イメージングを駆使して、個体発生において細胞骨格の動態を制御する遺伝子ネットワークを包括的に明らかにすることをめざす。19年度は、個体レベルの細胞骨格の動態解析に必要な技術開発と、初期胚における紡錘体微小管の動態に絞った解析を行なった。1)紡錘体微小管・中心体を可視化するための蛍光融合蛋白質マーカー発現株の作出まず、線虫初期胚で蛍光融合蛋白質を発現させるためのベクターを開発するとともに、線虫の形質転換法を最適化し、形質転換株の作成効率を向上させた。確立した系を用いて、初期胚における紡錘体微小管・中心体の動態を可視化するための蛍光融合蛋白質マーカーを発現する線虫株を作製した。2)初期胚における紡錘体微小管・中心体の動態の4次元イメージング解析法の確立C.elegans初期胚における紡錘体微小管および中心体の3次元空間における動態を追跡するための単色4次元イメージング技術を確立した。現在、このシステムを基盤として、2種類以上の蛋白質を同時に可視化する多色4次元イメージングを行うシステムを構築中である。3)中心体の動態の定量的解析法の確立上記の4次元イメージングシステムを用いて、野生型と細胞極性に異常を示す変異体群の初期細胞分裂期における中心体動態を高時空間分解能で解析した。
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