研究課題
本研究は、微細加工技術によって半導体中に微細人工量子系を作製し、量子系を通過する電流ゆらぎの相関を精密に測定することによって、エンタングルメントの生成と検出を目指すものである。本研究は、量子力学の基本原理に関わる実験としての意義と同時に、量子情報処理システムの実現に向けた必要不可欠なステップであると位置づけられる。20年度は、19年度に構築した低温で動作する電圧増幅器を含む測定系を用いて、極低温における量子雑音測定実験を行った。同時に半導体二次元電子系(AlGaAs/GaAsヘテロ接合)を微細加工することによって量子ポイントコンタクトや人工原子(量子ドット)、電子干渉計などの量子デバイスを作製した。行った研究事項は以下の6点である。1. 量子ポイントコンタクトにおける量子ショット雑音の観測2. 量子ポイントコンタクトを用いたスピン偏極電流の生成とスピン分極率の測定3. 電子干渉計における電流電圧特性と雑音測定を用いた「ゆらぎの定理」の検証4. 電子干渉計における有限バイアス下におけるコヒーレンスの測定5. さらに高精度をめざした極低温電圧増幅器の開発(共鳴回路の改善などを含む)6. 半導体における巨大磁気抵抗効果の発見一年間の研究により、我々の構築した極低温電圧増幅器を含む測定系が世界でも1、2を争う高感度のものであることが明らかとなった。また、得られた成果は、半導体内における電子相関がどのように伝導度に影響を与えるかに関する新しい重要な知見である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (11件) 備考 (2件)
Nature 457
ページ: 1112-1115
Physical Review B, rapid communications 78
ページ: 241303-1-241303-4
http://www.kuicr.kyoto-u.ac.jp/a_topics/topics_090226.html
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2008/090226_1.htm