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本研究では、金属触媒を用いた逐次型のラジカル重付加反応を開発し、モノマー配列が制御されたビニルポリマーの合成法を確立すると共に、連鎖型のラジカル付加重合における分子量、立体構造、モノマー配列の制御についても検討する。さらに逐次型と連鎖型のラジカル重合を組み合わせることによっても新規な多重制御精密重合体を構築し、これらを通じて新規機能性高分子への展開も視野に入れて研究を推進する。本年度は主に以下の成果を得た。
1. 高次の配列制御ビニルポリマーの構築
ラジカルとカチオン付加反応を駆使することで、アクリル酸エステルとスチレン誘導体骨格を含む重付加用モノマーの合成に成功し、さらに適切な金属触媒を用いてラジカル重付加を行うことでABCD型配列制御ビニルポリマーの合成に成功した。また、アクリロニトリル骨格を有する二塩化物とジオレフィンの分子間ラジカル重付加により、アクリロニトリル、塩化ビニル、エチレン骨格を有するABCCB型、AABCCB型などの高次の配列制御ビニルポリマーの構築を行った。
2. 同時連鎖・逐次ラジカル重合系の開発による各種ランダム共重合体の合成と機能性ポリマーへの展開
非共役炭素-炭素二重結合と活性な炭素-塩素結合がエステル結合やアミド結合で結ばれたモノマーと、N-イソプロピルアクリルアミドの共重合を設計することで、室温でも非常に速く共重合が進行し、モノマー骨格により感温性と主鎖分解性が制御可能な新規機能性ポリマーの合成が可能なことを見出した。
3. 分子量と配列が同時制御されたビニルポリマーの構築
非共役オレフィンであるリモネンと、電子吸引性共役モノマーであるマレイミド誘導体のラジカル共重合を、フルオロアルコール中で行うことで、1:2のラジカル共重合が進行し、さらにリビングラジカル重合系を設計することで、開始末端から停止末端までのモノマー配列がほぼ完全に制御されたAAB型配列制御ビニルポリマーの合成に成功した。
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