情報通信応用の光デバイス・材料技術における高性能化と低消費電力化への対応に向け、高性能光学高分子の飛躍的性能向上とデバイス作製への応用研究を進めることを目的とした。そのため、本研究にて合成した電気光学定数が150-170pm/Vの高性能電気光学高分子を材料基盤とし、高分子フォフォニック構造の作製と光デバイス作製・評価を行った。特に本年度は実用的な材料応用への展開に向けて、以下の研究テーマ1-3について統合的に研究を行った。【テーマ1】:高性能高分子材料の設計・合成では、材料耐久性を向上させるために高ガラス転移温度高分子構造を活用し、電気光学特性が85℃/500時間の耐久試験でも数%以下の劣化しか示さない光学性能を達成した。また、架橋性高分子の合成で光導波路作製にも有用なプロセス耐性も導入した。【テーマ2】:高分子ナノ・マクロ加工技術では、フォトリソグラフィー技術を中心とした光導波路作製プロセスの確立を進め、光学活性層の劣化を生じないデバイス構造の設計と材料選択によって光デバイス作製を行った。また、フォトニック結晶の有効な電場増強効果を得るために、より作製精度が高く光閉じ込め効果が高いSi系フォトニック構造と電気光学高分子との融合光デバイス技術について検討を行った。その結果、より効果的な電磁場増強効果の発現につながる新デバイス技術についても知見を得ることができた。【テーマ3】光デバイス評価・応用では、高性能材料を光デバイス作製技術へ実質的に統合させるため、光調芯機構を持った光学実験系を構築し、光を高分子デバイス中へ結合させた光学評価実験を行った。通信帯域における光伝搬実験を進め、基本的な光学特性の解析を行うとともに、電場増強強化の特性が顕著となる非線形光学特性の解析についても検討を行った。
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