(1)背景:インターネットをはじめとする情報通信の発展は、高度なコミュニケーションの実現、物流に代わる作業効率の向上、及び情報集約・配信拠点の高速・大容量化を実現してきている。一方で、情報通信に関わる消費電力は超高速・大容量化とともに増加し、エネルギー消費の少ないネットワークの効率利用に向けた材料・デバイス開発は、情報通信を活用した低炭素社会の実現に向けた必須の課題である。 本研究ではこのような背景のもと、無機系材料では到達困難な高効率・低エネルギー動作の高性能高分子材料と光デバイスの研究を進めている。また、光情報処理や光変調などの次世代光情報技術の光アクティブデバイス領域の開拓に向け、実用的な高性能光学高分子の開発を展開することも目的の一つである。 (2)目的:本研究は有機・高分子材料のナノ・マイクロ加工技術によって飛躍的な特性向上が期待できる高性能光学素子を作製し、非線形光学特性を基軸とした実用的な光デバイス応用を展開することである。このため光と物質の相互作用場としてフォトニック結晶を積極的に活用し、極低消費エネルギー・超高速動作の非線形光スイッチング等の実現を狙う。フォトニック結晶の内部電場増強効果は数十倍~数百倍の光-物質相互作用発生させるため、非線形光学効果においては数百~数億倍のデバイス性能の向上も可能である。このようなインパクトを実証することによって、光機能性高分子材料の実用化に向けた、実質的なデバイス研究への展開を図ることも本研究の目的である。 (3)方法:研究目的を達成するため本研究では、研究代表者が蓄積してきた光機能性高分子材料の合成や光学特性評価、及び光デバイス応用を基盤としながら、独自の視点からフォトニック結晶がもたらす特殊な光学特性ついて詳細を検討し、高分子フォトニクスの飛躍的な進展が期待できる物質材料・光デバイス技術の融合研究を進める。これを実証するため本研究では、以下の研究課題を実施した。 (1)高性能フォトニック結晶の作製 1)高電気光学定数(>100pm/V)の達成 2)高分子ナノ・マイクロ加工技術の確立 (2)光デバイス評価・応用 1)光学的評価基準の確立 2)応用:高速光スイッチング素子等
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