研究概要 |
(1) 表面酸化シリコン試験片の強度,疲労特性の評価 単結晶シリコンの疲労破壊に重要な役割を果たすと予想される表面酸化層について,酸化膜厚と強度の関係を調べている.酸化による強度の変動が観察されたのでこれを考察した.強度の変動のメカニズムとしては表面の加工粗さが酸化によって減少することによる強度向上や酸化膜の増加により,表面酸化膜における亀裂発生プロセスの変化による強度変化などを予測して実験を行った.現状では酸化プロセスにおいてシリコン内部に生成する欠陥が強度の変動に影響を及ぼしていることが推察されており,現在陽極酸化や堆積法による酸化膜の形成を試みている. (2) 高温引張強度の評価 開発中の高温薄膜引張試験装置は赤外線加熱装置を用い試験片部のみを短時間で加熱可能であり,石英部品などを用いた熱絶縁と静電チャック法による試験片の固定によって高温試験を実現している.本年度の改良で試験片部の温度の均一性が向上し,その状態で600℃で試験が可能になった.単結晶シリコンの引張試験を実施し,強度,ヤング率の温度依存性について評価した. (3) 真空中マイクロ材料引張試験装置の開発 試験雰囲気をさらに広い範囲で制御することを目的とし,装置を真空容器内に作製しガス置換した環境下で試験可能な装置を製作した.単結晶シリコン試験片について引張試験を行い,大気中と真空中で強度に差があることを見出した.また,酸化膜の試験方法について検討した.
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