研究概要 |
本年度は,直径φ60mm×長さ170mmの小型サイズのスパイラルモータの設計,理論解析,および製作を行った。固定子および可動子においては比較的透磁率の高い3%珪素鋼を切削して螺旋形状および巻線スロット,永久磁石スロットを成形した。また,磁束の回り込みを防止するため,可動子軸に非磁性ステンレス,固定子フレームにジュラルミンを用いた。可動子においては,可動子軸の外周に螺旋形状部品を固定し,固定子においては,フレームの内側に螺旋形状の固定子を固定する方式とした。また,このモータを用いた並行リンク機構の2軸ロボットマニピュレータについて基本的検討を行った。スパイラルモータの駆動システムでは,1モータに対し2つの3相インバータが必要となるが,1台で2つの3相負荷を制御可能な新しい回路トポロジーの9スイッチインバータを提案,開発し,シミュレーションおよび実験によりその有効性を示した。 また,スパイラルモータのベクトル制御モデルを提案し,直径φ200mm×長さ420mmのスパイラルモータにおいて,ロードセルを用いてq軸電流に対する推力の変化の測定を行い,推力定数を明らかにした。さらに,詳細モデルである3次元CADモデルを用いて有限要素法による電磁界解析を行い,推力定数が実験結果とほぼ一致することを確認した。また,実験により2000[N]の推力を実現した。以上より,設計どおりの性能が実現できることが確認できた。
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