研究課題
エネルギー材料として期待される超伝導や熱電変換材料の高性能化のため、薄膜結晶成長技術や新規ナノ制御技術を駆使した新規な薄膜成長プロセス、微細な組織を創生する組成や組織の制御、薄膜特有の結晶成長、膜積層技術などをナノ技術、界面制御技術などの観点から融合することによる、次元性の異なる機能を生成することが期待させる。具体的には、「超伝導や熱電変換などの機能性薄膜」の高性能化のため、以下の方法で磁束線やフォノンの制御をより厳密に制御技術を確立する。本年度はナノ欠陥、転移制御やナノ陰イオン組成制御による機能性薄膜の特性向上を目的とした。前者は、目的機能を有しない析出物を微細に薄膜中に導入する、または結晶途中に混入することにより欠陥や転移を整列配置し、新たな性能を生み出す。また、後者は酸化物と窒化物の融合など、目的薄膜の陰イオンの組成制御を行い、あらたな機能を生み出す。ことにより性能向上が期待される。ナノ欠陥、転移制御ではYBa_2Cu_3O_7(YBCO)薄膜の結晶欠陥を利用したピンイングセンターの導入を目的として、酸素アニール条件を変化させてYBCO薄膜の作製を行った。その結果超伝導特性の一種である臨界電流密度(J_c)の磁場印加角度依存性においてB//cにJ_cピークが確認され、またアニール条件毎にピークの大きさが変化した。X線逆格子マッピング測定からはYBCO薄膜の酸素不均質性は確認できなかった。しかしながら微細構造観察(断面TEM観察)から、YBCO薄膜には潮方向に伸びた結晶欠陥が観察され、それらはCu-O面がずれた逆位相境界である事がわかった。さらにSTO基板表面のステップが、逆位相境界の生成に寄与していることが確認された。
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