研究課題
鋤鼻神経におけるc-Fosタンパク質の発現を活性化の指標として、オス涙から分泌されてメス鋤鼻器官に取り込まれて鋤鼻神経を発火させる新規の性特異的ペプチド(約7kDa)を見つけ、ESP1と名付けた。本研究では、ESP1ペプチドを認識する受容体の同定およびその受容体を発現している神経が脳のどこに投射しているかという神経回路の可視化を行う。また、ESP1がどのようなフェロモン作用をもつか、行動/内分泌解析、およびESP1受容体ノックアウトマウスの解析によって明らかにする。本年度は、ESP1を認識する鋤鼻受容体の同定、同定したV2R型鋤鼻受容体のESP1応答の再構成、ESP1-V2R型鋤鼻受容体の情報伝達経路の解明を目的として行った。まず、鋤鼻神経に発現する約60種類のV2R受容体のなかから、ESP1刺激によって発現誘導されるc-Fosと二重染色されるV2R遺伝子のタイプを同定し、V2Rp5と命名した。V2Rp5が本当にESP1を受容するか解析するため、培養細胞HEK293にV2Rp5を強制発現させ、カルシウムイメージング法によって応答を再構成しようと試みたがうまくいかなかった。そこで、V2Rp5を発現する鋤鼻神経を可視化したトランスジェニックマウスを作製した。具体的には、V2Rp5遺伝子の下流にDsRedタンパク質コード配列を挿入したBac cloneを作製し、V2Rp-DsRedトランスジェニック系統を樹立した。情報伝達経路の解析を目的に、TRPC2ノックアウトマウスを入手し、V2Rp-DsRed Tgマウスとの掛け合わせを開始した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
Current Biology 17
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http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/molecular-recognition/touhara/kyukaku.html