研究課題
本年度は前年度に構造を決定したジャガイモ疫病菌のエフェクターAVR3aにおいてアミノ酸置換変異体を解析した。AVR3aがリン脂質と結合すること、また変異体がその結合能を失うことから、植物内においてリン脂質キナーゼを過剰発現させることによって細胞内のリン脂質の構成を改変し、エフェクターの挙動を解析した。この結果AVR3aが不安定になること、またそれによってPAMPシグナルの抑制ができなくなることを発見した。これによってAVR3aが宿主細胞内でのリン脂質結合が病原性に重要であることを実証した。またRAR1,SGT1,HSP90の複合体に結合するタンパク質を精製し超高感度質量分析器(LC-MS/MS)によって同定した。このタンパク質が、HSP90に直接結合することを示した。さらにゲノム解析の結果、このタンパク質をコードする遺伝子は二つ存在することを明らかにした。遺伝子サイレンシング法によって、このタンパク質をコードする遺伝子2つの発現を減少させると、病原体に対する抵抗性が低下した。また病原体ストライガのESTデータベースを完成させ、その総合的遺伝子解析から、宿主から病原体に移ったと思われる遺伝子を発見した。ゲノムシークエンス、サザンブロット解析からもこの仮説は実証された。またこの遺伝子の移動が同属のオロバンキにはないが、近縁の種には確認されたことから、約四千万年前に起こったと推定された。これは植物間における核遺伝子の水平伝播の初めての例となった。
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