植物における免疫活性化機構と病原体による免疫抑制化機構の解明

2011 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 19678001
• 研究機関: 独立行政法人理化学研究所
• 研究代表者: 白須 賢 独立行政法人理化学研究所, 植物免疫研究グループ, グループディレクター (20425630)
• キーワード: 遺伝子 / ゲノム / シグナル伝達 / 植物 / 生理学

研究概要

本年度は本研究室において確立した結晶構造パイプラインを用いて、病原性に関与すると思われるGlycosyltransferase(UGT)の結晶を作成し、その結晶構造を決定した。さらに基質との結合様式を決定したが、それには二つの様式があり、興味深い結果となった。変異体を作りさらに解析を進めている。また病原性シグナルとクロストークするオーキシンの主要生合成酵素YUCCAの精製を行いその活性を確認した。本研究室においておこなったケミカルスクリーニングによって発見されたサリチル酸のアンタゴニストに結合するタンパク質を精製し超高感度質量分析器(LC-MS/MS)によって同定した。このタンパク質は六量体を形成しており、SDSなどの界面活性剤や熱に対しても非常に強固であった。サリチル酸のアンタゴニストに耐性を示すEMS処理変異体を選抜したが、このタンパク質をコードする遺伝子に変異が発見された。このことからこのタンパク質がサリチル酸アンタゴニストの植物内における結合因子であることが明らかになった。またこのEMS処理変異体においてサリチル酸シグナル伝達系が不活化しており、またサリチル酸アンタゴニストによってもこのシグナル伝達系が不活化することから、このタンパク質がサリチル酸シグナル伝達系において重要な役割していることが明らかとなった。また次世代シークエンサーを用いて病原体のトランスクリプトーム解析を推し進め、感染時に発現する遺伝子を同定した。

研究成果

• [雑誌論文] Phosphoproteomics in plants (2012)
  • 著者名/発表者名: Nakagami, H., Sugiyama, N., Ishihama, Y., Shirasu, K.
  • 雑誌名: Plant Cell Physiol 巻: 53 ページ: 118-124
  • DOI: doi:10.1093/pcp/pcr148
  • 査読あり
• [雑誌論文] Sequence divergent RXLR effectors share a structural fold conserved across plant pathogenic oomycete species (2012)
  • 著者名/発表者名: Win, J., Krasileva, K.V., Kamoun, S., Shirasu, K., Staskawicz, B.J., Banfield, M.J.
  • 雑誌名: PLoS Pathogens 巻: 8
  • DOI: doi:10.1371/journal.ppat.1002400
  • 査読あり
• [雑誌論文] The HSP90 complex of plants (2012)
  • 著者名/発表者名: Kadota, Y., Shirasu, K.
  • 雑誌名: Biochimica et Biophysica Acta (BBA)-Molecular Cell Research 巻: 1823 ページ: 689-697
  • DOI: 10.1016/j.bbamcr.2011.09.016
  • 査読あり
• [雑誌論文] Phosphatidylinositol monophosphate-binding interface in the oomycete RXLR effector AVR3a is required for its stability in host cells to modulate plant immunity (2011)
  • 著者名/発表者名: Yaeno, T., Li, H., Chaparro-Garcia, A., Schornack, S., Koshiba, S., Watanabe, S., Kigawa, T., Kamoun, S., Shirasu, K.
  • 雑誌名: Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 巻: 108 ページ: 14682-14687
  • DOI: 10.1073/pnas.1106002108
  • 査読あり
• [雑誌論文] Agrobacterium rhizogenes-mediated transformation of the parasitic plant Phtheirospermum japonicum (2011)
  • 著者名/発表者名: Ishida, J.K., Yoshida, S., Ito, M., Namba, S., Shirasu, K.
  • 雑誌名: PLoS One 巻: 6
  • DOI: doi:10.1371/journal.pone.0025802
  • 査読あり
• [雑誌論文] The main auxin biosynthesis pathway in Arabidopsis (2011)
  • 著者名/発表者名: Mashiguchi, K., Tanaka, K., Sakai, T., Sugawara, S., Kawaide, H., Natsume, M., Hanada, H., Yaeno, T., Shirasu, K., Yao, H., Mc Steen, P., Zhao, Y., Hayashi, K., Kamiya, Y., Kasahara, H.
  • 雑誌名: Proc.Natl.Acad.Sci.USA.
  • DOI: 10.1073/pnas.1108434108
  • 査読あり
• [学会発表] ジャガイモ疫病菌が分泌するエフェクターAVR3aの病原性機能には脂質との結合が必要である (2012)
  • 著者名/発表者名: 八丈野孝, 李華, Angela Chaparro-Garcia, Sebastian Schornack, 小柴生造, 渡部暁, 木川隆則, Sophien Kamoun, 白須賢
  • 学会等名: 平成24年日本植物病理学会大会
  • 発表場所: 福岡国際会議場(福岡県)
  • 年月日: 20120328-20120330
• [学会発表] ジャガイモ疫病菌が分泌するRXLRエフェクターAVR3aの病原性機能にはホスファチジルイノシトールリン酸との結合が必要である (2012)
  • 著者名/発表者名: 八丈野孝, 李華, Angela Chaparro-Garcia, Sebastian Schornack, 小柴生造, 渡部暁, 木川隆則, Sophien Kamoun, 白須賢
  • 学会等名: 第53回日本植物生理学会年会
  • 発表場所: 京都産業大学(京都府)
  • 年月日: 20120316-20120318
• [学会発表] Genomic-scale analysis of the parasitic plants-Towards understanding of the plant parasitism (2012)
  • 著者名/発表者名: 白須賢
  • 学会等名: Japan-Australia Symposium on Plant Sciences for Agriculture
  • 発表場所: 北海道大学(北海道)(招待講演)
  • 年月日: 2012-01-19
• [学会発表] Genomic-scale analysis of the parasitic plants-Towards understanding of the plant parasitism (2011)
  • 著者名/発表者名: 白須賢
  • 学会等名: Plant Genomes & Biotechnology : From Genes to Networks
  • 発表場所: Cold Spring Harbor Laboratory New York, USA)(招待講演)
  • 年月日: 2011-12-02
• [学会発表] 植物免疫関連タンパク質の構造機能解析 (2011)
  • 著者名/発表者名: 白須賢
  • 学会等名: 第84回日本生化学会大会
  • 発表場所: 京都国際会館(京都府)(招待講演)
  • 年月日: 2011-09-23
• [学会発表] ジャガイモ疫病菌が分泌するRXLRエフェクターAVR3aの構造機能解析 (2011)
  • 著者名/発表者名: 八丈野孝
  • 学会等名: 日本植物病理学会関東部会若手の会
  • 発表場所: イーアスつくば(茨城県)(招待講演)
  • 年月日: 2011-09-16