研究課題
われわれはこれまでに条件的Evi-1欠失マウスを樹立・解析し、Evi-1が造血幹細胞の維持に必須の遺伝子であることを示している。今回われわれはEvi-1の発現を可視化したマウス(Evi-1-IRES-GFPノックインマウス)を樹立し、正常造血におけるEvi-1の動態と意義について解析した。その結果、成体および胎児においてEvi-1が長期骨髄再構築能を有する造血幹細胞、特に静止期(GO)の細胞に選択的に発現しており、Evi-1の片アレル欠失によって静止期の造血幹細胞が減少することが明らかとなった(投稿中)。この知見からEvi-1が特に造血幹細胞の自己複製に重要であることが明らかとなり、また、Evi-1を指標として効率的に造血幹細胞を純化出来る可能性が示唆された。われわれは条件的Evi-1欠失マウスやヒト白血病症例における網羅的遺伝子発現解析の結果を用いてEvi-1の転写標的を探索し、Evi-1の転写抑制標的遺伝子としてPTENを同定した(Yoshimi A, et al.Blood 117:3617-28,2011)。Evi-1はポリコームタンパク質と複合体を形成してPTENのプロモーター領域に結合し、ピストンのメチル化を介してその転写を抑制していた。また、Evi-1によるPTEN抑制が、その下流のAKT/mTORシグナルの活性化を介して白血病細胞の増殖に寄与していることが、マウスEvi-1発現白血病モデルにおけるmTOR阻害剤投与などの解析から明らかになった。本研究は難治性白血病遺伝子であるEvi-1高発現症例に対する分子標的療法の可能性を提起したものとして注目される。また、造血細胞におけるEvi-1とポリコームタンパク質複合体の相互作用を初めて明らかにしたものであり、そのような作用は正常の造血幹細胞でも働いていることが推測される。
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