研究課題
われわれはこれまでに、難治性白血病遺伝子Evi-1がポリコームタンパク質と協調して白血病遺伝子として働くことを報告している。今回われわれは、Evi-1高発現白血病発症モデルを用いて、Evi-1による白血病発症を促進する協調因子を探索した。その結果、Evi-1高発現白血病では高頻度にC/EBPbetaが高発現していることがわかった。C/EBPbetaの3つのアイソフォームのうちLIPだけがEvi-1との協調により白血病発症を促進させることもわかった(投稿中)。この知見から、Evi-1とLIPとの機能的な協調関係が、Evi-1高発現白血病を治療する上での新しい治療標的になりうることが示唆された。われわれは以前樹立した条件的Runx1欠失マウスを用いて、臨床的に高頻度に見られるRunx1機能喪失型変異の白血病細胞における意義を解析した。その結果、MLLキメラ遺伝子白血病モデルにおいて、Runx1が欠失すると白血病細胞の増殖が亢進すること、それにはp19(ARF)の抑制が関係していることがわかった(Nishimoto N, et al. Blood 118:2541-50,2011)。p19(ARF)はp53の制御因子の一つである主要な癌抑制遺伝子であり、Runx1変異による造腫瘍性獲得機構の一端が明らかになった。さらにわれわれは、上記のマウスを用いた網羅的遺伝子発現解析の結果、Runx1の欠失によってNF-κBシグナルが活性化することを見出した。Runx1タンパク質は細胞質でNF-κBシグナルを阻害しており、Runx1変異体ではその機能が失われることがわかった(Nakagawa M et al. Blood 118:6626-37,2011)。この結果から、Runx1変異を有する白血病においてNF-κBシグナルが有望な治療標的である可能性が示唆された。
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