研究概要 |
本年度は,戦略的ネットワークを実現するための個別要素に関して以下の研究を実施した。「バルクトラピックの性能劣化品質評価」では,約100名の被験者に対し,基準となるスループット性能に対して「性能が変化(劣化)」したと体感的に認識できる性能を評価する実験を行った。その結果,被験者が異なる性能と判断する境界値の平均はおよそ50%である12.5Mbps程度であることが分かった。また,「オンラインによるリアルタイムトラヒック識別手法」については,パケット到着間隔に着目し,その統計的差異からフローを高レートリアルタイム(動画),低レート(音声),およびバルクトラヒックに分類する手法を提案した。エンドユーザの家庭環境,キャンパスゲートウェイなどに提案手法を実装したモニタリング機器を設置し,評価した結果,様々な環境において90%以上という非常に高い精度でリアルタイムトラヒックを抽出することができた。また,ルータにおけるTCPの到着特性を利用したTCPバージョン識別法,社会行動モデルを応用した戦略的なトポロジー再構築法などについても提案を行ない,シミュレーションおよび実験評価によってその有効性を確かめた。
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