本年度は、戦略的ネットワークを実現するための個別要素に関して以下の研究を実施した。「ルータにおけるTCPの到着特性を利用したTCPバージョン識別法」について、クラスタリング手法を用いて各TCPバージョンの分類を行う方法を提案した。14種類のバージョンのうち任意の2つのバージョンが混在するネットワークを想定したシミュレーションでは、約85%の組み合わせにおいて20秒以内の識別が可能であることを示した。さらに「社会行動モデルを応用した戦略的なトポロジ再構築法」ついて、現状のインターネットの構造に対し、情報検索の効率を維持しつつ耐障害性を高められるトポロジが存在することを示し、そのトポロジを実現するためにどのような接続戦略をとればよいかを明らかにした。また、分散システムにおける性能均一化のためのサーバ性能計測手法とその計測結果に基づくサーバ選択手法を提案し、ランダム選択よりもより性能を均一化することができるサーバ選択が可能であることを示した。
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