研究概要 |
VR空間における移動感覚と視点位置変動との関係について,カメラ付き携帯型情報端末を用いた「視覚・前庭感覚統合伝送システム」の基盤技術の構築を行なった.本研究ではこれまでに前庭感覚を刺激するための手法としてGVS(Galvanic Vestibular Stimulation)を用いたが,小型,軽量のGVSと組み合わせた視覚刺激のための手法として携帯型情報端末を用いることは有用である. 視覚と前庭感覚を統合したシステムでは,オプティカルフローをリアルタイムで検出・処理することが重要である.つまり,カメラからの映像および運動情報を実時間で取得・統合・処理することが必要となる.しかし,現在の多くの携帯型情報端末では主に内蔵CPUを用いて画像処理を行っているため,情報欠落や時間遅れによる知覚的な齟酷が生じるという問題があった.そこでCPUだけではなく,画像処理に特化したモジュールであるGPUを用いてリアルタイム特徴点トラッキングを行うためのシステムを作製した.さらに作製したシステムをライブラリ化することで,汎用性を高めることに成功している. また,上記画像処理システムにおける携帯型情報端末を用いてカメラ搭載型小型二足歩行ロボットをインタラクティブに操作可能なシステムを構築した.これにより,ロボットの操作に加え,ロボットに搭載したカメラから取得した画像の処理・提示を同一の携帯型情報端末で行うことが可能であると言える. 以上のように,本システムの主要な要素を小型,軽量な装置を用いて実現することで,「視覚・前庭感覚統合伝送システム」を様々な場面に応用するための基盤技術の開発に成功した.
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