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2009 年度 実績報告書

ヒトを含む霊長類乳児の感覚統合―分化と運動変換に関する比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 19680013
研究機関京都大学

研究代表者

明和 政子  京都大学, 教育学研究科, 准教授 (00372839)

キーワード比較認知発達科学 / 身体マッピング / チンパンジー / 感覚-運動 / 身体模倣 / 新生児模倣 / 新生児 / 乳児
研究概要

本研究は、ヒト特有の認知機能の進化史的、生物学的基盤を解明するため、ヒトを含む霊長類の認知機能を実証的に比較することを目的とした。とくに、発達の視点を重視し、ヒトの認知機能の成り立ちをあきらかにする探るアプローチから研究を進めてきた。具体的には、ヒトという種に特有とみなされてきた発達初期の認知能力を異種間で実証的に比較し、どの部分がヒト以外の霊長類と共通し、どの部分がヒト独自のものなのかを客観的データで示す試みをおこなってきた。H21年度のおもな成果を以下に示す。
(1)ヒト早産児における聴覚-運動マッピング能力の発達的基盤
ヒト新生児は、他者の表情のいくつかを自己身体運動として模倣する。こうした新生児期の模倣は生後2か月で消えるとされる。本研究では、通常より数か月早くに誕生した低出生体重児(早産児)を対象に、受精後40週の時点で新生児模倣能力について検証した。その結果、早産児は出生後2か月以上経過しているにもかかわらず、新生児模倣とみなせる反応が確認された。これは、新生児模倣とその後ヒトだけが発達させる高度な模倣能力との発達的関係について重要な示唆を与えるものである。
(2)乳児期における自己の行為経験が他個体の行為の知覚に与える影響
生後1年未満のヒト乳児およびチンパンジーの成体を対象に、自己の行為経験が、他個体の行為の知覚にどのような影響を与えるかを調べた。目を目隠しで覆う行為経験をヒト乳児とチンパンジーに施した後、同じ目隠しをした他個体が、(1)目隠しをしているのにゴールに達成する不自然な行為と、(2)目隠しをしているからゴール達成に失敗する自然な行為を対提示した。その結果、事前に目隠し経験をおこなったヒト12か月児は、他個体の行為を適切に理解した。チンパンジーとの比較では、チンパンジーは、チンパンジーが注意を向けるのは、おもに他個体が操作している物であり、経験共有の有無による差異は認められなかった。ヒトでは、他個体の行為の知覚は、自己の身体経験により柔軟に変化することがわかった。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (6件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] The supine position of postnatal human infants : Implications for the development of cognitive intelligence2009

    • 著者名/発表者名
      Takeshita, H., Myowa-Yamakoshi, M., Hirata, S.
    • 雑誌名

      Interaction Studies

      巻: 10 ページ: 252-268

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 社会的活動の進化2009

    • 著者名/発表者名
      明和政子
    • 雑誌名

      BRAIN MEDICAL

      巻: 21(2) ページ: 173-179

  • [学会発表] 母親以外の他者は養育にかかわるか?チンパンジーの事例から2010

    • 著者名/発表者名
      明和政子
    • 学会等名
      第3回慶応義塾大学・京都大学グローバルCOE共催シンポジウム「子どものこころの発達と教育-最新の研究成果に学ぶ-」
    • 発表場所
      東京,慶応義塾大学
    • 年月日
      2010-01-09
  • [学会発表] 母親以外の他者は養育にかかわるか?チンパンジーの事例から2009

    • 著者名/発表者名
      明和政子
    • 学会等名
      第25回日本霊長類学会学術大会 公開シンポジウム「「母親」-「霊長類学」と「子ども学」のクロスディスカツション」
    • 発表場所
      岐阜,中部学院大学
    • 年月日
      2009-07-20
  • [学会発表] ヒトの心が芽ばえるとき-社会的認知の発達と進化的基盤-2009

    • 著者名/発表者名
      明和政子
    • 学会等名
      第7回ダウン症療育研究会
    • 発表場所
      天理市,天理教道友社
    • 年月日
      2009-06-27
  • [学会発表] 社会的認知の起源を探る-胎児期・新生児期にみる身体マッチング能力2009

    • 著者名/発表者名
      明和政子
    • 学会等名
      日本赤ちゃん学会第9回学術集会(シンポジウム1「胎児期からの運動と社会的認知の発達」)
    • 発表場所
      彦根市,滋賀県立大学
    • 年月日
      2009-05-15
  • [図書] 子育ての進化と文化2010

    • 著者名/発表者名
      明和政子
    • 総ページ数
      20
    • 出版者
      新曜社
  • [図書] 人間とは何か2010

    • 著者名/発表者名
      明和政子
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      岩波書店
  • [図書] 小児科臨床ピクシス ここまでわかった小児の発達2010

    • 著者名/発表者名
      明和政子
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      中山書店
  • [図書] 赤ちゃん学カフェ2010

    • 著者名/発表者名
      明和政子
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      ひとなる書房
  • [図書] 人とサルの違いがわかる本2010

    • 著者名/発表者名
      明和政子
    • 総ページ数
      18
    • 出版者
      ひとなる書房
  • [図書] Handbook of Developmental Social Neuroscience2009

    • 著者名/発表者名
      Myowa-Yamakoshi, M., Tomonaga, M.
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      Guilford Press
  • [備考]

    • URL

      http://www.educ.kyoto-u.ac.jp/~myowalab/index.html

  • [備考]

    • URL

      http://okanoya.jst.go.jp/

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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