研究課題
遺伝子キャリアと微小管の相互作用をさらに視覚的に評価するために、微小管の構成タンパク質であるtubulinのGFP融合タンパク質安定発現細胞株(HeLa-Tub細胞)を用いて評価を行った。蛍光標識したpDNAを封入したオクタアルギニン修飾MEND(R8-MEND)及びadenovirusを用いて、HeLa-Tub細胞に遺伝子導入を行い、一定時間後のキャリアの動態を経時的イメージングにより観察した。その結果、R8-MEND、adenovirusともに、微小管に沿った直線運動が観察され、particleが直線的に移動していることが確認された。さらに、リアルタイムイメージングの画像を基に各キャリアのparticle trackingを行うことで微小管輸送の速度、拡散定数を算出し、細胞内動態の定量的な評価を行った結果、adenovirusはR8-MENDよりも速い輸送が行われていることが明らかとなった。また、人工的に遺伝子ベクターを促進するための新規ペプチド素子として、アフリカ豚コレラウイルス由来p54由来のペプチドをダイニン標的化ペプチドとして用いることで、微小管輸送を人工的に起こすナノ粒子設計が可能となった。また、極性細胞であるMDCK細胞などにおけるR8-MENDの細胞内動態解析を行なった結果、従来のカチオン性脂質と異なり一部の粒子はゴルジ体に移行することを明らかとした。前年度に構築した新規トランスウェルを用い、多岐にわたるペプチドを修飾したリポソームの単層細胞培養系の透過性を解析した結果、ナノ粒子のトランスサイトーシスを誘起可能な新規コンセンサス配列を世界に先駆けて同定することに成功した。これらの結果は、今後トランスサイトーシスを介した実質輸送に非常に有用な基盤技術となる。
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