研究課題
臨床試験用機器の性能評価と改善とスペクトル診断法の確立とその有効性の確認を今年度の目標として掲げた。平成19年度に開発したスペクトル診断装置による臨床研究が、平成20年3月に静岡がんセンター倫理委員会から承認された。4月から臨床研究をスタートさせ、7月末までに患者患部のデータを取得しつつ装置の初期不良箇所の改善を一通り終了させた。その後、メラノーマと脂漏性角化症に絞って原発巣データの取得を行った。平成21年3月には健常者のホクロ計測を可能とする修正プロトコルを当該倫理委員会に申請、承認された。取得データの解析を行い、以下の成果を得た。メラニンまたはヘモグロビン強調画像のアルゴリズムを開発した。それは、メラノーマの本質である不均斉さ、特に患部辺縁部のそれを際立たせることに成功し、画像的にメラノーマ他から区別できるようになった。これらの画像は、説明の道具としてはわかりやすいものではあるが、不均斉さを客観的ものさしで表現したものではない。そこで、メラノーマの本質である不均斉さを表現できるメラノーマ鑑別指標の探索を行った。その結果、未だ症例数、画像数とも少ないが、顕微仕様の装置において、単一鑑別指標のみで、感度80%かつ特異度90%を達成することができた。我々の知る限り、単一鑑別指標では他の追随を許さない性能である。今年度は平成19年度に開発した2台の装置による臨床研究を共同研究者である臨床医とともに実施した。取得したスペクトルデータを解析することにより、スペクトルに基づく新規メラノーマ診断法を提案し、それが従来診断法に対して優位性を持っていることを実証してきた。しかし、症例数が未だ少ない。したがって、本手法が統計学的にも他手法に対する優位性を主張できるよう、症例数の更なる確保が今後の課題であると考えている。
すべて 2009 2008
すべて 学会発表 (7件) 産業財産権 (2件)