研究概要 |
本研究の目的は,これまで主に肉眼観察に立脚してきた,装飾大刀の製作技法の検討について,考古学的資料調査にポータブル蛍光エックス線を導入することによって再検証することである。最終的には,理化学的な手法による裏付けをもち,かつ考古学的検討に堪え得る網羅的なデータを集成し,装飾大刀の製作体制の変遷を再構築することを目指している。 本年度は,調査開始の前提作業として,導入したポータブル蛍光エックス線分析計の測定精度,および適切な測定条件の抽出を実施した。同一のサンプルを室内設置が時のエネルギー分散が時蛍光エックス線分析計と,ハンドヘルド型両者で測定し,測定精度の評価をおこなった。また,同一のサンプルを異なる測定姿勢で測定し,適切な測定結果を得るために最適な測定条件の把握をおこなった。 以上の作業をふまえ,古墳時代装飾大刀の資料調査を開始した。調査をおこなったすべての資料について,肉眼観察による通常の考古学的な検討と,蛍光エックス線分析を実施し,肉眼観察による経験的な材質同定,製作技法の検討を批判的に検証しながらデータを蓄積することに成功した。 資料調査の結果をふまえ,成果の一部を『元興寺文化財研究所研究報告2007』へ掲載した。
|