研究課題
琵琶湖流入河川において、流程に沿った粗粒状有機炭素(CPOM)および礫上付着物(Epilithon)のΔ^<14>C値の変化を調査した。その結果、CPOMは陸上由来の値を示すΔ^<14>C値を示したのに対し、EpilithonのΔ^<14>C値は河川間によって異なり、また下流に至る程上昇することがわかった。また、芹川の小流程を用いてEpilithonのδ^<13>C値およびΔ^<14>C値の変化を見たところ、δ^<13>C値は開空度および流速によって変化したが、Δ^<14>C値はそれらに影響を受けなかった。この事実は、しばしばδ^<13>C値が変動する河川においても、Δ^<14>C値は食物網解析の炭素源推定に用いることが出来る可能性を示した。また、北大苫小牧演習林において植物遺体、土壌腐植、土壌層および土壌動物群集の解析を行った。樽前山の噴火以来針葉樹林であったサイトでは、土壌腐植および土壌層の炭素蓄積量は高く、かつΔ^<14>Cプロファイルは大気CO_2のΔ^<14>C値をほぼ反映していた。それに対し、広葉樹林の履歴がある森林については土壌腐植および土壌層のΔ^<14>Cプロファイルは大きく撹乱を受けていた。これは、広葉樹に多い土壌動物の混合効果によって土壌有機炭素蓄積構造が影響を受けたことを示唆する。さらに、食物網構造をΔ^<14>C、δ^<15>N、δ^<13>Cの3つのパラメータを用いて解析する手法を、森林伐採からの経過年数の異なった複数の森林で適用した。樹上捕食者であるクモのΔ^<14>C値は、樹上生食連鎖由来の「新しい炭素資源」と、土壌から羽化する土壌腐食連鎖由来の「古い炭素資源」を混合して利用する事実を明確に示した。一方、森林伐採からの経過年数によっての変化は見られなかった。この結果は、少なくとも森林の二次遷移課程を通じて食物網を流れる炭素の年代は、森林伐採からの経過年数ではなく、捕食者の餌の選好性に影響されることを示した。
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