ヌクレオチド除去修復(NER)は紫外線照射によって生じるDNA損傷を含む多様な損傷を修復する重要なDNA修復機構である。XPC蛋白質複合体(XPC複合体)はNERにおけるDNA損傷認識に必須の因子である。XPC複合体のサブユニットの一つであるcentrin 2(1-172アミノ酸)はこれまでにXPCの損傷DNA結合活性を促進することが報告されている。その一方で、centrin 2は中心体蛋白質として同定され、中心体複製に必須の因子であることが知られている。Centrin 2によるXPCの損傷DNA結合活性増強の機構を解明する為に、centrin 2のドメイン解析を行った。Centrin 2のカルボキシ末端ドメイン(94-172残基)はXPCとの相互作用及び、上述のXPCの損傷DNA結合活性の増強に十分であることを明らかにした。一方、アミノ末端ドメイン(1-93残基)は他のDNA損傷認識因子であり、ユビキチンE3リガーゼであるUV-DDBと相互作用することを見出した。さらにcentrin 2を欠く条件下ではXPCのユビキチン化が減弱することからcentrin 2はXPCのユビキチン化を二つの損傷認識因子と相互作用することにより制御している可能性が示唆された。
|